「中国の教科書の出鱈目さ」
本誌5月号で、「新しい歴史教科書」に対する中国や韓国並びに我が国の外務省や元政治家等による妨害工作について取り上げた。
中国や韓国の主張は、簡単に言えば、「日本の過去の歴史について、もっともっと自虐的に悪く書け」という事になる。しかもその様な圧力は我が国に対する内政干渉ではないと我が国外務省は言っている。それならば我が国も中国や韓国の教科書に対して強く抗議しても良いと言うことになる。
それでは中国の教科書に我が国のことは一体どのように書かれ、そして教えられているのか?検証してみたい。
産経新聞の平成13年2月27日より3月にかけて連載された「日中再考」第3部「歴史の教え方」によると、中国では我が国のことをこれ以上悪く教えようがない、というくらいに徹底的に悪く教えているのである。しかも中国では我が国とは違い、学校の教科書は全て国定教科書であり、他に全く選択の余地は無いのである。
中国は清時代の後半は非常に弱体化し、1839年のアヘン戦争によって香港をイギリスに取られ、その後、フランスやドイツそしてロシアなどから侵略を受けそうになっていた。
その様な中で我が国は強い危機感を感じて「明治維新」を成し遂げたのは周知の通りである。
明治維新を成し遂げた後も、「我が国の独立を守り抜くためには朝鮮半島の安定を図らなくてはならない」という事情の中で、当時非常に弱体化していた朝鮮半島を守る為に戦ったのが1894年の日清戦争であり、1904年の日露戦争であった。そしてその間に起こった1900年の北清事変(義和団事件)は当時北京にあった、我が国を初めとする先進諸国の公使官員が中国の義和団に襲われたのを助ける為に当時の先進諸国と連合軍を組んで戦ったのである。
処が中国の教科書では、他の欧米列強のことは殆ど悪く取り上げることはなく、その一方では我が国のことを徹底的に悪く、まるで我が国の事を罵るように書いているのである。日本が中国大陸でどれほど非道でどれほど残虐であったかを、繰り返し繰り返し教えることが中国の基本政策の様である。中国共産党政府は中国人(国民)に対して、小さな時から我が国に対する反日感情を植え付ける事により、我が国に対する反日感情を中国発展のエネルギーにしようと言うような考え方をしているのかとも思える。
例えば、(同紙によると)中国の小学校高学年用の読本「小学生が知らねばならない中国の十の話」には南京事件についてこの様に書いてあるという。「日本の侵略軍は古い城壁の都市の南京を虐殺の場にしてしまいました。日本軍は狂ったように人間を殺すことで自分達の勝利を誇って見せました。日本軍の司令官は公然と部下の悪事を許しました。将兵は我が同胞の中国人を銃撃し銃剣で刺し、軍刀で首を切り、腹を切り裂き、溺れさせ、焼き殺し、生き埋めにし、いろいろ残忍な方法で殺しました。殺人ゲームを楽しみ、恥をすっかり無くして婦女を暴行し、12歳の女の子から60歳以上のおばあさんまで逃がしませんでした。」同じく南京事件について、「日本侵略者の赴くところ何処でも、焼く、殺す、犯す、奪う、という事が行われた。日本軍は南京の占領後、南京人民に対し、血なまぐさい虐殺を実行し、天にもとどろく大罪を犯した。」「日本軍は大規模の集団虐殺を行い、何千何万の青年、中年の男子と、武器を既に捨てた中国人兵士たちを川の岸に連れて行き、針金や紐で縛り、いくつもの段階に分けて、機関銃を撃ちまくって、皆殺しにしました。死にきれない人は銃剣で刺し殺し、最後には火を付けました。南京城内に血が川のように流れ、死体は山のように高く積み上げられました。調べによれば、日本軍は南京占領後の四ヶ月以内に我が同胞30万人以上を殺したのです。」…と
ちなみに、この南京問題に関しては、冨士信夫著「南京大虐殺はこうしてつくられた」、中村粲著「大東亜戦争への道」、渡部昇一著「かくて昭和史は甦る」等に時系列的に非常に詳しく記されている。
当時、「蒋介石軍をうち破った日本軍は昭和12年12月13日に南京城内に入城した。ほぼ同時に約120名の世界のマスコミ関係者が入城している。その時、南京城内には約20万人の(中国人)民間人がいた。その他に22名の欧米人がいた。そして翌13年1月には何と人口が約5万人増えて25万人になっていた。何故なら、日本軍が来るまでは蒋介石軍が民間人を襲って暴行や略奪、放火の限りを尽くしていた為、遠くに逃げていた中国人が、日本軍が入城してからやっと南京に平和が甦ってきた、ということで徐々に南京に戻ってきたため人口が増えた」という事が実に詳しく書いてある。
しかも当時の新聞で「日本軍が入城してから、やっと平和が甦ってきた南京」と言うようなタイトルで何度も写真入りで報道されている。全く話が逆なのである。
実際、22名いた欧米人はただ1人として死傷した者はいないのである。万が一に、いわゆる南京大虐殺などということがあったのであれば、日本軍が仮に手当たり次第に民間人を虐殺したのであれば、欧米人だけがただ1人も死傷しないなどという、そんな不思議なことがあるだろうか?
前述の各著書を良く読めば、南京大虐殺というものが如何にとんでもない作り話であるかが良く分かる。
1874年の「台湾遠征」、1894年の「東学党の乱」、及び同年から翌年にかけての「日清戦争」並びに1900年の「北清事変」、偽造された「田中上奏文」、そして中国人が中国に居た我が国居留民を虐殺した「済南事件」と「通州事件」、1932年の「第一次上海事件」、「廬溝橋事件」についても一事が万事、南京同様に嘘八百、正に出鱈目を書いているのである。そしてこのようなことは韓国の教科書も同様である。(例えば、1909年に朝鮮人の安重根がハルピンの駅で、我が国の初代首相である伊藤博文を暗殺したことに関して、安重根を英雄として書き、伊藤博文は悪者の様に書いてある。そのことが翌年の日韓併合に繋がったにも拘わらず、である。)
全く言語道断である。
冒頭に記した通り、中国や韓国の我が国教科書に対する圧力が、我が国外務省の言う通り「内政干渉ではない」と言うのであれば、何故我が国は中国や韓国の出鱈目な教科書に対して、強く抗議すると共に修正を強く求めないのであろうか?
小泉新内閣並びに田中真紀子・新外務大臣(田中新外務大臣の言動は、李登輝前台湾総統の再訪日拒否発言、新しい歴史教科書に対する認識大誤認、アーミテージ米副長官に対する面会ドタキャン等非常に問題は多いが)は正しい歴史をしっかりと検証し、是非とも自信と誇りを持って毅然たる外交を進めてもらいたい。
平成13年7月