諸橋茂一の言語道断

元外交官による教科書検定不合格工作問題

 アップルタウン4月号にて、馳浩代議士が我が国の教科書検定問題について述べておられましたが、敢えて再度この問題について取り上げたいと思います。

 現在の我が国歴史教科書があまりにも偏向している、自虐的になり過ぎているとの思いを強く抱かれた、大作「国民の歴史」を著された西尾幹二先生、東大の藤岡信勝先生、小林よしのり氏等が中心となって、新しい歴史教科書を作り、現在、文部省の教科用図書検定を受けている。ところが同検定調査審議会の委員であった元外務省のインド大使、野田英二郎が同新しい歴史教科書を不合格にする為の工作をしていた、というとんでもない事実が明るみになった。
 この野田英二郎は日中友好会館副会長(平成12年10月19日現在)を務め、同会館会長の元有力政治家・後藤田正晴と外務省の教科書問題担当課長の三人で同9月19日、特定の(同)歴史教科書への対応を協議したことが分かっている。(産経新聞平成12年10月19日付け)中国政府が同9月以降、文部省や与党議員に対し、実際にはその殆んどが創り話である南京事件などの「旧日本軍の残虐行為」の記述を減らさないように再三要求していたことも判明している。ほぼ同じ頃、野田英二郎が歴史小委員会と公民小委員会の委員中、9人に対し、特定の歴史教科書を不合格にすることへの協力を要請していたことも分かっている。(産経新聞同日付け) 
 独立国家として正に由々しき問題であり、絶対に許せない事である。言語道断である。
 この様な馬鹿げたことが起きる大きな背景としては、昭和57年、鈴木善幸内閣当時、いわゆる教科書書き換え問題が起きたとき、(実際には、その後、書き換えなど無かったことが明らかになったのであるが)宮沢喜一官房長官(当時)が、「周辺諸国条項(教科書検定の際には周辺諸国に配慮しますというもの)」をその後の「教科書検定基準の一項として入れます」と発表してしまったところに大きな責任がある。
 その馬鹿げた「周辺諸国条項」に基づいてその後の教科書検定が繰り返された為に、我が国の中学及び高校の歴史教科書が、どんどん自虐的になり、反日的な意図を持って作られた北朝鮮製の教科書かと勘違いさせられるくらいに酷い教科書になってしまっているのである。
 具体的には、田代栄助、山本宣治等という聞いたこともない反日的な人達を載せたり、初代総理大臣である伊藤博文を殺した安重根を英雄扱いするように載せ、逆に伊藤博文は悪人扱いしたりしている。
 元寇についても、「当時、我が国の海賊が朝鮮半島を荒らし回っていた為に、その海賊を懲らしめる為にそれらの海賊の本拠地である日本を攻めたのだ」と、大きく歴史を歪曲して書いてある。和冦という存在も実は、中国人や朝鮮半島の人々が日本人を騙って海賊行為を繰り返した可能性も高いというのにである。もしそれらの和冦が日本人であったとしても、和冦の存在は15〜16世紀のことである。時代が大きく違う内容を無理にくっつけて、とにかく過去の日本は悪かったのだ、と思い込ませる様に教科書が歪んで創られてしまっているのである。
 世界で一番大きなお墓は(面積では)「仁徳天皇御陵」であるが、それを何と「大山古墳」と書いてある。これでは初めて学ぶ者にとっては天皇のお墓で有るということさえ分からない。ようするに日の丸反対、君が代反対、安保反対、自衛隊違憲、天皇制反対、いわゆる左翼思想をもった人達、反日日本人達が意図的に、敢えて日本人として誇りを持てなくなるような内容にどんどん教科書を歪めてしまっているのである。
 その様な中で教科書を出来る限り歪め続けようとするかのように、野田英二郎が、日本人として誇りを持てる内容にとの思いを込めて新しく創られた「歴史教科書」の文部省検定を通させない様にする為の妨害工作を行っていたわけである。しかも、その妨害工作には外務省や文部省と元有力政治家も大きく関わっていたということである。全く言語道断である。
 もう一つの問題は、前述57年の教科書書き換え問題の時も今回の教科書検定に対する圧力問題も、共にその発端は朝日新聞を初めとするいわゆる反日マスコミが、問題にする必要の無いことを問題になるように報道して、結果的に中国や韓国が我が国に対して激しく抗議せざるを得なくなるような状況を敢えて創りだしていることである。同時に、森首相も指摘したとおり、森首相も含めて(教科書検定関係者以外は)我が国の国民の誰も知らない「検定中教科書しかも白表紙本」がどうして中国や韓国に流れてしまうのか?つまり教科書検定関係者の中に、外部に漏らしてはいけない白表紙本をコピーしてマスコミ関係者等に渡している人間がいるということであり、更にそれを中国関係者や韓国関係者に渡している人間がいるということでもある。全くとんでもないことである。
 以上のような経過の結果、それに屈する形で、外務省はその白表紙本に対して137箇所もの修正をさせたのである。しかも、何と3月15日に中国の朱首相は北京の人民大会堂において、「137箇所の修正では不十分だ、その教科書の検定を通すべきではない」というとんでもない抗議声明を発表している。我が国に対する内政干渉も甚だしい。
 少年による凶悪犯罪が激増している遠因も歪んだ教科書にある、と言っても決して過言ではない。我が国の歴史教科書を何が何でも日本人として自信と誇りを持てる教科書に真剣に作り変えて行かねば我が国の明日はない。
平成13年5月