諸橋茂一の言語道断

特殊法人等は徹底的に統廃合又は民営化すべきである。

 今月の本論に入る前に、去る9月11日に米国で起きた、普通の人間の想像を大きく超える残酷極まり無い大テロに対して強い憤りを抱くと共に、6,453名とも言われる多くの犠牲者の方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げます。
 米国を中心として、我が国も含め、全世界の国々が力を合わせて、二度とこの様な残虐なテロが起きぬようにする為に、テロ組織の徹底的な壊滅に向け、全力を尽くさねばならないと思う。
 その後、田中真紀子外務大臣が、米国務省職員の秘密の避難先を不用意にもマスコミに対して話してしまった、と言う。(又もか?と言うことでもあるが)全くとんでもないことである。以前にも述べたことではあるが、田中外務大臣は解任すべきである。
 小泉首相は8月15日に堂々と靖国神社に参拝すべきであった。
 その後、自民党の山崎幹事長が、小泉首相が8月13日に靖国神社参拝したことに付いて東南アジア5カ国を釈明に回ったことも全く馬鹿げたことである。(タイなどでは靖国参拝に関しては全く話題にもならなかったということである。)
 今月の本論に入ろう。
 小泉内閣は「聖域無き構造改革」と「不良債権処理」を柱として仕事を進めている。
 構造改革の中には特殊法人の統廃合も含まれている。33の主要特殊法人の概要と問題点について週間ダイヤモンドの4月28日号、5月5日号に相当詳しく取り上げてあった。
 それでは33の主要特殊法人にはどのようなものがあるのか?
 それらを羅列すると、[事業系]として「日本道路公団」、「年金資金運用資金」(旧年金福祉事業団)、「簡易保険福祉事業団」、「都市基盤整備公団」、「中小企業総合事業団」、「日本鉄道建設公団」、「運輸施設整備事業団」、「首都高速道路公団」、「阪神高速道路公団」、「水資源開発公団」、「日本私立学校・共済事業団」、「本州四国連絡橋公団」、「石油公団」、「社会福祉・医療事業団」、「緑資源公団」、「新東京国際空港公団」、「地域振興整備公団」、「農畜産業振興事業団」、「労働福祉事業団」、「宇宙開発事業団」、「環境事業団」「科学技術事業振興事業団」、「国際協力事業団」、「金属鉱業事業団」以上24。
 [金融系]として「住宅金融公庫」、「公営企業金融公庫」、「国際協力銀行」、「日本政策投資銀行」、「商工組合中央金庫」、「国民生活金融公庫」、「中小企業金融公庫」、「農林漁業金融公庫」、「沖縄振興開発金融公庫」以上9、合計33ということになっている。
 国が特定の目的で設立した特殊法人は今現在78あるという。しかもその下に約26万の公益法人と認可法人があり、関連会社も含めると何と100万人を超える(元)官僚がその中にいると言う。
 「日本道路公団」の子会社関係だけでも53社あり、本体は24兆8,995億円もの借入金があり、年間に1,941億円もの補助を受けているにも拘わらず、何とそれらの主要子会社、約50社の剰余金合計は1,000億円にもなるという。しかも、それらのファミリー企業の内、43社の社長は道路公団やその所管官庁である国土交通省のOBが占めているという。
 官公庁役人のお手盛り、天下り先の乱造も甚だしい状態である。国民の貴重な貯金や税金を使った国政の私物化も甚だしい情況である。
 その他、主な補助金の配布先を見ると、都市基盤整備公団に1,372億円/年、運輸施設整備事業団に2,002億円/年、日本私立学校・共済事業団に3,417億円/年、石油公団に2,638億円/年、国際協力事業団に1,670億円/年…‥等がある。
 年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)の運用失敗による累積赤字は簿価ベースで何と1兆4,000億円にも上ると言う。
 それらの特殊法人に注ぎ込まれた郵便貯金や簡易保険を原資とする財投資金は何と255兆円にも上るということである。
 しかも今現在でもなお年間に約1兆6,400億円もの補助金を出し続けているのである。
 それらの特殊法人に貴重な国民の財産をそれこそ湯水の様に注ぎ込みながら、それらの特殊法人等を官僚の天下りが数年おきに転々と渡り歩き、その度ごとに、何千万円或いは何億円という莫大な退職金を何の遠慮も無く、厚かましく貰い続けていた情況は正に異常な状態である。外務省の不祥事も同根であるが、正に国を、国民を食い物にしていたとしか言いようのない状態である。 全く言語道断である。
 小泉首相は先の靖国参拝の様に腰折れすることなく、初期の公約どおり、例えどのような抵抗があろうとも毅然たる姿勢を貫いて、特殊法人等の統廃合又は民営化を徹底的に推し進めてもらいたい。
 そのことと併せて、「例えば1.超過密状態の東海道新幹線のバイパス的位置づけで、5年以内に北陸新幹線を開通させる。2.全国の主要都市の地中線化を短期に整備する。3.香港や韓国に負けない本格的な国際空港を早期に整備する。」というような真の経済活性化に繋がる対策も〔しかもそれらが、将来の我が国にとって真に必要な物に絞って重点的に〕真剣に実施すべきである。
 今進めている不良債権処理と言われるものの実態は「不良債権拡大政策?」の様なことをやっているのが実状である。これでは不況が益々ひどくなるだけである。   
           以上

お詫びと訂正
 先月号の文中、「乃木希典」と記すべき処、「乃木稀助」となっていました。お詫び申し上げ、訂正させて頂きます。
平成13年11月